九州北西部・佐賀県の有明海に面する佐賀空港は、1998年に開港した比較的新しい空港だ。
佐賀県に空港を建設する話が最初にあがったのは1970年代まで遡るが、海苔養殖に関わる地元民との協議がうまくまとまらず、2度にわたって見送られてきた歴史がある。
ジェット機の就航に対応した2,000mの滑走路を設置し、開港当初は羽田便、大阪便、名古屋便の3路線で運航していた。しかし、近隣空港である福岡空港の利便性も影響したことで旅客者数は伸び悩み、現在は羽田便と成田便のみとなっている。
沿岸にある空港という立地を生かして、夜間貨物便(羽田)が2004年から開始されているが、2006年以降は貨物量が下降トレンドを辿っている状態だ。
2022年9月に開業した西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)が、今後もし九州新幹線と繋がることになれば、旅行客の獲得がより一層厳しいものになるだろう。
将来の利用者減少のリスクを見据え、近年は海外路線の誘致を積極的に行っており、現在はソウル、上海、台北、西安の4路線が就航している。
生き残りかけて激しい輸送インフラ競争に挑む2023年6月の佐賀空港をレポートする。
空港概要
清潔でモダンなデザインのターミナル
2013年に国際線旅客ターミナルビルを新設、2021年には国内線旅客ターミナルビルを増改築しており、年間旅客者数11万人の地方空港とは思えないほど、清潔でモダンなデザインとなっている。
“HELLO SAGA DESIGN”というキャッチコピーにちなんで、インフォメーションカウンターのサインやショップの内装、ちょっとしたインテリアにもこだわりが感じれらる。
レストランや待合席の容量不足
通常の休日でさえ、レストランは満席、カフェの食事メニューはほぼ完売、待合席も空席なし、という状況で、繁忙シーズンを想像すると旅客から不満の声が聞こえてきそうだ。
モダンなデザインの雰囲気演出に余白スペースは極めて重要な要素と言える。しかし、それを優先しすぎて旅客の満足度が低下してしまっては本末転倒だ。
旅客の食欲や購買意欲を高めるような快適で落ち着ける空間を期待したい。
100号機目の国産旅客機YS-11
空港から歩いて5分ほどのところにある佐賀空港公園には、国産旅客機YS-11の100号機が展示されている。1998年の商業フライト(対馬〜福岡)のあと、最終フライトで佐賀空港へやって来たという。
雨晒しにも関わらず保存状態はよく、フェンスもないため間近くまで寄ることができ、機体にも触れることが可能だ。
再び国産旅客機が空を飛ぶ日が来るのだろうか、そんな想いを馳せながら楽しむのもいいかもしれない。