『Airport Report』長崎空港 Mar,2021

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長崎県の大村湾に浮かぶ長崎空港は、世界で初めて海上にできた空港として知られている。箕島という島を整備して空港となった。長崎県は江戸時代の鎖国中に唯一、外国とのやりとりが許可されていたこともあり、今もなお西洋文化が色濃く残る。観光資源も豊富で、キリシタンの歴史や軍艦島、戦争の記憶、ハウステンボスなど数日では見回れないほどコンテンツが充実している。しかし、2020年に世界を襲ったパンデミックの影響で東京や関西圏からの旅客が激減。2021年3月の長崎空港をレポートする。

空港概要

長崎県・長崎空港 -Nagasaki Airport-

世界初の海上空港

1975年に長崎県大村湾上に長崎空港が設置されたが、本格的な海上空港として運用が始まったのは世界で初めてのことだった。大村湾に浮かぶ箕島という島を整備し空港を作り上げた。当時、箕島には16世帯66人が暮らしていたが、県知事をはじめ地元の代議士らと住民が十分に意見を取り交わした結果、島民全員が島外へと移住したという。

島民の協力もあって開港した長崎空港は、空港建設場所としては最適だった。当時の大型ジェット機の就航が可能な滑走路長を確保できること、島を切り崩したときに出る土石を再利用できるため建設コストを安くできること、海上空港となるため騒音問題や航行障害や灯火(市街地の光など)の問題が少ない上、24時間空港の条件を満たしやすいことなど、好条件が揃っていた。

さらには、長崎県内の主要都市である長崎市と佐世保市のほぼ中間に位置し、観光名所となっている雲仙や島原へのアクセスも良好であることは利用者メリットを考えても箕島に空港を建設する大きな理由であった。

異国情緒が漂うターミナルビル

長崎空港に着陸するとすぐに目に飛び込んでくるのが大きな鐘だ。ターミナルビル3階の展望デッキにはオランダの教会をモチーフとした「幸せの鐘」が設置されており、撮影スポットとしても人気だ。また、ターミナルビル2階の天井にはステンドグラスが設置されており、日本の空港とは思えない異国情緒あふれるデザインとなっている。

充実の名産品に、鮮度抜群の地のもの食材

カステラにちゃんぽん、皿うどん、びわ、あご出汁、角煮、からすみ、長崎和牛と県の名産品はとても充実しており、お土産選びは長時間悩んでしまうほど。定番のカステラも最近は有名店以外の店舗も増えており、リピーターにとっても楽しくなる・買いたくなる構成となっている。

飲食店は旅客数減少の影響を受け、一部店舗は営業休止中だったが、長崎県で取れる新鮮な魚を使った寿司バー「菖蒲」は人気だ。空港ということもあり決して安くはない価格だが、長崎に到着して最初に、あるいは飛び立つ最後に、地のものを堪能できるお店は嬉しい限りだ。

九州で唯一FAZ空港に指定

長崎空港は九州にある空港で唯一FAZ(Foreign Access Zone:輸入促進地域)に指定されている。輸入品の荷降ろしや荷捌き、保管等、輸入を促進するための施設整備や事業活動を集積できる空港となっており、国際航空貨物が集積する国際的な物流拠点としての可能性を秘めた空港でもある。24時間空港としてのポテンシャルを有していることからも期待が高まりつつある。

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