『Airport Report』熊本空港 Dec,2023

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熊本県内の北部に位置する熊本空港は、日本有数の活火山である阿蘇山の麓から広がる溶岩台地にあり、「阿蘇くまもと空港」という愛称も付けられている。熊本市の中心市街地と阿蘇駅のほぼ間にあり、車で約40〜45分ほどの距離にある。

2022年の利用旅客数は226万人※1で、九州では福岡、鹿児島に次ぐ3番目に利用者が多い空港だ。主な路線は羽田・成田の首都圏空港のほか、名古屋、大阪、那覇といった主要経済圏からの旅客を多く迎えている。また国際線も台湾・高雄便を除く3路線が運航を再開しており、ターミナル内には海外旅客の姿も多く見られる。

大きな転機となったのは2016年4月に発生した熊本地震。多数の死者や建物被害を及ぼすなど甚大な災害となった。幸いにも熊本空港の被害は小さく、震災から3日目には定期便の運航を開始している。その後、熊本県は防災拠点としての役割を含めた空港機能の強化を図るため、空港コンセッション化やターミナルビル新設に着手することとなった。

空港コンセッション化に伴い2020年に熊本国際空港株式会社が設立。2023年3月に国内線・国際線が一体化された新しい旅客ターミナルビルがオープン。新ターミナルが完成して間もない熊本空港をレポートする。

※1 国土交通省 空港管理状況 令和4年分

空港概要

熊本県・熊本空港 -Kumamoto Airport-

国内線・国際線一体型の新旅客ターミナルビルが完成

空港コンセッション化に伴い計画されていた新旅客ターミナルビルが2023年3月にオープン。元々、国内線と国際線の旅客ターミナルは別々だったが、今回のリニューアルに合わせて国内線・国際線一体型のターミナルとなった。

地上4階建て、施設面積は約37,500㎡のターミナルビルは天井が高いこともあり広々としている。自動チェックイン機をはじめ自動手荷物預入れ機、保安検査のスマートレーン対応など随所にテクノロジーが導入されており、日本の中規模空港の中でもハイスペックな仕上がりとなっている。

美しい阿蘇の山々が見えるパノラマ展望デッキ

旅客ターミナル4階にある展望デッキからは美しい阿蘇の山々と青い空に飛び立つ飛行機を存分に楽しむことができる。

羽田空港の国際線ターミナルやセントレア空港の展望デッキのようにターミナルビルから滑走路に向かって突き出たエリアがあり、多くの送迎客や飛行機ファンで賑わっている。

展望デッキには座るスペースのほか飲み物やアイスの自動販売機も設置されており、天気の良い日には絶景のパノラマを見ながらゆっくりと過ごすのも良いかもしれない。

待ち遠しい第2期エリア

熊本空港の新しい旅客ターミナルビルが、従来の空港デザインと一線を画すのは、ショップやレストランなどの施設を保安検査通過後の制限エリア内に充実させた点だ。

日本の多くの空港では、保安検査通過前のエリアに商業施設を揃えることで、飛行機を利用しない客層の購買も考慮しているが、今回はそのセオリーを打ち破る新しい設計仕様となっている。

実際にターミナル内を歩いていると、送迎客や空港に遊びに来た客から不満の声もちらほら聞こえたが、現在着手中の第2期工事で非旅客向けの施設エリアが建設中だという。

今後この新しい空港仕様が次のスタンダードになるのか引き続き注目していきたい。

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