沖縄本島から西の方角へおよそ60km離れたところに位置する粟国島。面積は約7km2で周囲は約13km、人口はおよそ700人という小さな島に粟国空港がある。沖縄県が管理する当空港は800mの滑走路があり、那覇空港から週3日・1往復のみチャーター形式で運航されている。
一時期、着陸時に事故が起き空路は休止されていたが、2021年7月に運航を再開。現在は第一航空がカナダのバイキング・エア社が製造するDHC-6の機体で運航を担っている。日本でDHC-6の機体を所有するのは第一航空のみで、那覇ー粟国線は一部の航空ファンからはレアな路線とも言われている。
片道運賃は大人8,000円(離島住民なら5,000円)※1で、飛行時間は約25分。那覇からのフェリーは運賃が約3,500円のため、比較すると割高に感じるが、所要時間は約2時間。時間を優先したい場合は空路がおすすめだ。
ダイビング目的で一部のコアな観光客がいるものの、認知度は決して高くない粟国島。燃料費など運航コストが高まる中、今後も継続して観光客や島民の”足”となれるか。2022年7月の粟国空港をレポートする。
*1第一航空 運賃のご案内(https://www.dai1air.com/okinawa/price/)
空港概要
タイムスリップしたかのようなフライト体験
那覇空港から出発する場合、第一航空の手続きカウンターは到着ロビー1階の端っこにある店舗で行われる。航空機への搭乗は、駐機している場所まで車で移動することになる。ここで驚くのは、移動車に乗る前に保安検査が行われる。というのも、車に乗って那覇空港内の制限区域にエントリーするためだ。乗車前には荷物の検査と金属探知機による身体チェックが行われ、移動の車中では、緊急時のビデオが流される。また、パイロットも同じ車に乗って移動するなど珍しいシーンに遭遇できる。
飛行機は小型のプロペラ機で、座席からコックピットが見えるため、操縦の様子を楽しむことができる。特に離着陸の際にパイロットが見ている光景を乗客も見ることができるのは貴重な体験だろう。飛行機や空港のセキュリティや安全が強化される前へとタイムスリップしたかのような気分を味わうことができる。
ターミナル内のBGMはAMラジオ
粟国空港の旅客ターミナルビルの音響はCDラジカセから流れるAMラジオだ。スマートフォンで音楽を聴いたり、スピーカーに繋げてBGMを流すスタイルが主流の中で、CDラジカセを音響にしている空港は粟国空港だけかもしれない。加えて、沖縄本島から中継されるローカル感たっぷりのラジオ番組がさらにノスタルジックな雰囲気を演出してくれている。
集落までの移動はタクシーの事前予約がおすすめ
粟国空港は飛行機の出発と到着に合わせてバス(アニー号)が集落から運行されているほか、乗合タクシー(りかりか号)もよく利用されている。タクシーの場合、島のどこへ行くにしても、1回の乗車運賃は200円ぽっきり※2。島内に2〜3台ほどしか走っていないが、空港から集落へ移動するときのように、あらかじめ移動する時間が決まっているような場合は、事前にTEL予約し、タクシーを利用するのが便利でおすすめだ。
※2 2022年7月時点
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