『Airport Report』南紀白浜空港 Mar,2021

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和歌山県にある南紀白浜空港は温泉街として有名な白浜町から南東に約1.5kmほどの位置にある本州最南端の空港。行政機関が集まり経済の主要地域である和歌山市からは約60kmほど離れているため、和歌山市へのアクセスは関西国際空港を利用する人が多くビジネス客にとっては使いづらい面もある。しかし、温泉や海水浴、熊野古道、アドベンチャーワールドなど観光資源は豊富で、近年の旅客者数は増加傾向にあり、国内線かつ日本航空のみの運航にも関わらず2019年には約18万人と過去最高を記録。また2019年からは空港運営をコンセッション方式へと変更。空港経営の変革を加速させる2021年3月の南紀白浜空港をレポートする。

空港概要

和歌山県・南紀白浜空港 -Nanki-Shirahama Airport-

東京便が1日3往復、搭乗ゲートは1つの超コンパクトな空港

2021年3月時点で南紀白浜空港の定期就航路線は日本航空による東京便が1日3往復(6便)。午前、お昼、午後それぞれ1便ずつとなっている。2019年の旅客者数増に対応すべく、2020年からは全便においてボーイング737−800(165席)へと機材が変更された。

東京以外の就航路線はないため空港の配置スポットが混雑することはなく、搭乗ゲートの真正面に旅客機がつけられる。ターミナル施設内の搭乗ゲートも1箇所と旅客は迷う余地がないほどコンパクトな作りとなっている。

ノスタルジーと先端テクノロジーが共存

地方の小規模空港ならではの光景も目にすることができる。その1つがフライト掲示板だ。電子掲示板がない頃は空港の代名詞とも言えるパラパラ掲示板。表示が切り替わるときの音はなんとも言えないノスタルジー感を味わうことができる。

一方、コンセッション方式が採用された南紀白浜空港では先進的な取り組みにも積極的だ。空港を拠点に地域活性化を目指すべく、観光客をはじめ来訪者に対して地域全体で総合的なサービスを提供し旅の体験を向上する取り組みが行われている。その1つがNEC社の顔認証技術を用いたおもてなしサービスだ。あらかじめNEC社が提供するサービスに、自身の顔写真を含む個人情報とクレジットカード情報を登録しておくことで、提携した飲食店や宿泊施設等では手ぶらで決済や鍵の解錠などができる仕組みが整備されている。南紀白浜空港でも、ウェルカムサービスの一環として到着フロアにあるディスプレイを通してウェルカムメッセージを表示するなど先端テクノロジーを活用した意欲的な取り組みが行われている。

空港を拠点に地域活性化を狙う

南紀白浜空港は民営化後、空港を核とした地域活性化に力を注いでいる。上述した取り組みのほかに、企業やビジネス客に向けてサテライトオフィスやワーケーションの誘致にも積極的だ。羽田空港からは約70分とアクセスが良好なことや白浜をはじめロケーションが美しいこと、WiFiなどネットワーク環境が整備されていることもあり、IT企業を中心にサテライトオフィスの設置も徐々に増えつつあるという。地域の観光資源やテクノロジーをうまく活用し、白浜町全体が一丸となって空港を拠点とした地域活性化の新たなモデルを作ろうとしている。

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