沖縄県那覇市の西側に位置する那覇空港。日本屈指の観光資源を武器に、国内だけでなく近隣のアジア諸国からもゲストが多く訪れる。2020年には2本目の滑走路が設置されたほか、国内線と国際線を繋ぐターミナルビルが増設されるなど順調に拡大している。また24時間空港という特性を活かし、物流拠点としても存在感を高めつつある。さらには地政学的な優位性から、民間輸送や貨物輸送だけでなく自衛隊や海上保安庁、県警航空隊の基地としても活用されており、ステークホルダーが多い空港としても知られている。新型コロナウイルスの脅威が少し落ち着いた2021年9月の那覇空港をレポートする。
空港概要
アクセス抜群のレジャー空港
沖縄県内の随一のメインストリート・国際通りがある県庁前までは空港からモノレールでおよそ12分(6駅)とアクセスが抜群。モノレールは日本全国の交通系ICカードにも対応しており、スムーズな移動ができるようになっている。
また、離島へのフェリーが行き来する泊港(通称:とまりん)まではタクシーで10分と那覇空港を経由して次なる目的地へと向かうルートも使い勝手が良い。レンタカー会社も数多く揃っているが、繁忙期の混雑を想定し、空港から少し離れたところに店舗が用意されており、空港から送迎バスで移動する方式がとられている。中には送迎バスで15分ほど離れたところにあるレンタカー会社もあり、急いでいる場合は注意が必要だ。
近年、多くの空港がターミナル施設の出発動線と到着動線を分離して空港のセキュリティを高める設計にしている中、那覇空港はいまも出発・到着動線が同じフロアに存在する。そのためピークシーズンは一時的に旅客者でごった返すことになる。通路の広さにも限りがあるため、今後の需要拡大に備え旅客処理の効率化は重要な課題になってくると思われる。
需要取り込みを狙い拡大中
昨年、那覇空港は西側に2本目の滑走路の供用を開始した。滑走路1本のときは福岡空港に次いで発着の多忙な空港として知られていた。今回の2本目の滑走路オープンによって年間の総発着回数は16万回から18万5,000回へとアップする予定だという。
また国際線と国内線の連携をスムーズにするべく、2019年には国際線と国内線を繋ぐ新しいターミナル施設の供用を開始。あいにく現在は利用者はまばらだが、今後の海外ゲストの取り込みやトランジット連携の処理効率を高め、拡大していくであろう旅客需要の取り込みに向け着々と準備が進められている。
那覇空港でいつも思うことは案内サインが見づらいことだ。搭乗ゲート番号は蛍光に近い緑背景に白抜きの文字というデザインだが、背景色の緑が強すぎて数字の認識がしづらくなっている。また、ゲート番号の表記の仕方も順序どおりに並んでいるかと思いきやそうでもないことがあるなど、わかりやすさに欠ける部分もある。今後の改善に期待したい。
近代化が加速する那覇空港
年々旅客者数が増えてきた那覇空港は、ターミナルビルが急速に近代化している。南国らしさの代名詞でもあるヤシの木は健在だが、商業施設の充実度やアミューズメント施設などを見ていると大都市空港そのものになりつつある。ガラスを多用した窓のデザインや1階から3階を一気に繋ぐエスカレーターなどターミナル施設全体を見渡すと、羽田空港や成田空港といった日本を代表する空港とその様子は遜色ない。アジアを代表する空港へと成長する志は素晴らしいと感じる一方で、ゆっくりとした心地よい時間が流れるのも那覇空港の魅力でもある。ターミナル施設の近代化が進んだとしても、どうか那覇空港でしかできない体験も守り続けてほしい。