九州北東部・国東半島の沿岸に位置する大分空港は、1971年に建設された海上空港である。3,000mの滑走路を有しているためジェット機に対応しており、東京(羽田・成田)、大阪(伊丹)、名古屋(中部)からの旅客が大半を占めている。
県庁所在地の大分市や温泉地として有名な別府、県内で3番目に人口の多い中津市といった主要都市から車で50分以上かかる場所に空港があり、アクセス面には大きな課題が残る。このような背景もあり、大分市と空港を海上交通(ホーバークラフト)で繋ぎ、最速25分でアクセスできる計画が推進されており、今のところ2024年に就航予定だという。
旅客者数は徐々に回復傾向にあり、2022年度はおよそ156万人で、コロナ禍前の水準の約84%にまで戻ってきている。一方、国際線については2019年10月以降、全路線において運休状態が続いている。
また、数年前から空港を宇宙港(スペースポート)として活用することを見据え、米国の企業であるヴァージン・オービット社が大分県と協定を結んでいたが、2023年5月に経営破綻したため、”大分宇宙港”は宙ぶらりんの状態となっている。
空港活用の新境地を拓くことができるのか。分岐点に差し掛かる2023年7月の大分空港をレポートする。
空港概要
楽しさを演出する小さなこだわり
所々で旅客を楽しくさせる工夫がなされている。到着すぐの手荷物受け取り用のバゲージクレームは、なぜか荷物と一緒にお寿司も廻ってくる。
展望デッキに行くと、段差注意のコーンはすべてバナナの皮のデザインが施されており、それを見た子どもたちは大はしゃぎする。
このような些細な遊び心は、おそらく大分空港ならではの景色だろう。
コンパクトでシンプルな空港
大分空港で迷子になることはないだろう。それほどシンプルでコンパクトに必要機能がまとまっていて、動線もわかりやすくデザインされている。
売店は2階出発フロアの保安検査場前にすべて集約されており、あちこちへ移動する必要もないので買い物客にとってはとても便利だ。
レストランは3階フロアにまとまっており、寿司屋、和食・洋食レストラン、ラーメンと押さえるべき食のジャンルが揃っている印象だ。特に寿司屋は本格的で、先代から数十年ずっと空港内で営業をしてきた名店だ。
航空スポッターはぜひイルカと少女の像へ
大分空港から車で3分ほどのところに大海田港があり、その漁港から突き出た歩道路の先に「イルカと少女の像」というモニュメントがある。
海を挟んで目の前が滑走路であり、風向き次第だが、離着陸する航空機を間近で見ることができる。天気が良ければ美しい海とモニュメントと航空機を一緒に写真に収められるベストスポットにもなる。
屋根等が全くないので炎天下は要注意だが、モニュメントでできる日陰に入って、心地よい潮風を感じる時間は幸せを感じられるだろう。