『Airport Report』熊本空港 Feb,2023

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熊本県内の北部に位置する熊本空港は、日本有数の活火山である阿蘇山の麓から広がる溶岩台地にあり、「阿蘇くまもと空港」という愛称も付けられている。熊本市の中心市街地と阿蘇駅のほぼ間にあり、車のアクセスで約40〜45分ほどの距離にある。

2021年の利用旅客数は114万人で、九州では福岡、鹿児島、宮崎に次ぐ4番目に利用者が多い空港だ。主な路線は羽田・成田の首都圏空港のほか、名古屋、大阪、那覇といった主要経済圏からの旅客を多く迎えている。他方で近年は、新幹線の延伸などもあり東海より以西の一部路線は減少傾向にある。

大きな転機となったのは2016年4月に発生した熊本地震。多数の死者や建物被害を及ぼすなど甚大な災害となった。幸いにも熊本空港の被害は小さく、震災から3日目には定期便の運航を開始している。その後、熊本県は防災拠点としての役割を含めた空港機能の強化を図るため、空港コンセッション化やターミナルビル新設に着手することとなった。

2020年に空港コンセッション化が行われ、熊本国際空港株式会社が設立。2023年3月には国内線・国際線が一体化された新しい旅客ターミナルビルがオープンする予定だ。空港運営の新しい幕が開ける直前の熊本空港をレポートする。

空港概要

熊本県・熊本空港 -Kumamoto Airport-

オープン直前の国内線・国際線一体型旅客ターミナル

熊本空港は国内線・国際線一体型の旅客ターミナルビルが2023年3月に新しくオープン予定だ。建物はほぼできており、内装を中心に最後の仕上げが行われている。現在、国内線は仮設ターミナルが設置され、国際線は既存ターミナルで運用されている。

国内線は仮設ターミナルのためショップやレストランの数が限られているが、パンデミックの時期と重なっていたことも幸いし、大きな混乱は発生していないという。

40年物の国際線ターミナルは取り壊しへ

国際線は現在、ソウル(仁川)便のみが運航中。既存のターミナルビルを使用しているが、新ターミナルのオープン後、国内線と一体化され、既存ターミナルビルは取り壊される予定だという。

40年前の1983年に建てられたターミナルは、時代を感じさせる格子状の窓に、直射日光を軽減するため茶色の曇りが入り、何とも言えないノスタルジーを醸し出している。

ナンバープレート認証で送迎車レーンを管理

新ターミナルビルのカーブサイドにはバスやタクシーが利用する送迎レーンとは別に、一般車用の送迎レーンが設置されている。一般車用の送迎レーンには、混雑防止のため先端テクノロジーが導入された。

レーンを利用する際、原則として紙は発券されず、設置されているカメラがナンバープレートを読み取り、車体を識別するシステムが導入されているのだ。入場後5分以内は無料、10分までは300円、それ以降は150円ずつ加算される。なお、1時間以上の利用は不可となっている。

繁忙期の乗降客によるカーブサイドの混雑が、この仕組みによってどれほど解消されるか注目で、効果があれば全国の空港でも採用されるかもしれない。

また、ナンバープレートを用いた認証システムは、海外の空港でも導入事例が増えており、ここ日本でもさらなる導入・活用が期待される。

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