『Airport Report』新千歳空港 May,2022

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北海道最大の都市・札幌から南東におよそ40kmほど離れた千歳市にある新千歳空港。北の大地への玄関口として東京・大阪・名古屋・福岡をはじめ国内の主要都市から数多くの便が就航している。年間旅客者数も国内第5位の多さを誇り、日本屈指の観光地を支える基盤インフラ施設となっている。

2019年にはコンセッション方式による空港運営が採択され、新千歳、稚内、釧路、函館、旭川、帯広、女満別の7空港を、新会社である北海道エアポート株式会社が運営することになった。7空港それぞれの特徴を活かし、北海道全域へ送客するマルチ・ツーリズムゲートウェイを目指すマスタープランが掲げられており、年間旅客者数を現在の2,900万人から4,600万人へと増やす計画で、国内観光客のみならず訪日外国人の来道率アップや国際線の路線拡大など今後さらに強化されていく予定だ。

パンデミックが落ち着きつつあり、回復の兆しが見え始めた2022年5月の新千歳空港をレポートする。

空港概要

北海道・新千歳空港 -New Chitose Airport-

大型ショッピングモールのような施設構成

新千歳空港は1日過ごすことができるほど商業施設が充実している。数多くのお土産ショップに、海鮮をはじめとする食事処、バラエティ豊富なスイーツ店など食に関しては国内の空港でもトップクラスの規模で、何を食べるか決められないほどだ。また、食だけでなくエンタメも用意されており、空港内シアターや温泉施設、チョコレート製造工場、人気キャラクターのコンセプトショップなど大型ショッピングモールさながらの施設で構成されている。都市化する空港として世界的な有名なのはシンガポール・チャンギ空港だが、ここ新千歳空港はまさに日本のチャンギ空港とも言える。

日本の食文化が凝縮

食べたいものがありすぎて、選べない。利用者を困惑させてしまうほど新千歳空港の飲食店は充実している。新鮮な海鮮をはじめ、ジンギスカン、ラーメン、スープカレー、洋食を提供するレストランに、クラッシックなカウンターを備えるバーや北海道産の材料を使ったスイーツ店など70店舗以上が軒を連ねている。ラーメンに至っては「北海道ラーメン道場」というラーメン店が集まる専用ゾーンが設けられているほどだ。海外ゲストも新千歳空港に降り立てば、日本の食文化を堪能できるに違いない。

待ち遠しい国際線の再開

コロナ禍が世界を襲う前の2019年8月に新千歳空港の国際線ターミナルは新しくなっている。これからというときにパンデミックにより国際線が休止。2022年5月現在、このターミナルには旅客が一人もいない状況が続いている。リニューアルオープンからもうすぐ3年が経とうとしているが、完成直後かのような佇まいだ。国際線の需要拡大を見越して、出発口には最新のセキュリティゲートを導入するなど準備は万端なだけに、早期の国際線再開が待たれる。

2030年頃には新しい旅客ターミナルビル(T3)の建設が計画中

日本人から見ても魅力がたくさん詰まった北海道は、海外ゲストにとっても同じだ。新千歳空港のほか北海道内7空港を運営する北海道エアポートは事業マスタープランに、2050年には年間旅客者数を7空港合計4,584万人(現在は2,846万人)を目指すと明示。その過程において2030年には3つ目の旅客ターミナル(国内・国際共用)を建設するというプランも描いている。旅客者数4,500万人とは、コロナ禍前の成田空港(約4,200万人)を上回る規模となる。新千歳空港が世界をつなぐ新しい日本の玄関口となりうるのか。空港運営がコンセッション化され民間の経営ノウハウが反映される中で、今後の拡張・発展に注目が集まるだろう。

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