チャンギ・エアポート・グループ(CAG)社は、ベンダーと協力して旅客搭乗橋(PLB)のドッキングプロセス自動化を検討しており、ボタンひとつで作業を安全かつスムーズに完了できる仕組みを構築しているという。
自動化PLBの活用でドッキングにかかる時間を2分未満に短縮
現在は航空機の到着に合わせて、地上オペレーターがPLB付近で待機する必要があり、航空機とPLBのドッキング・プロセスにはオペレーターの作業が必要となる。飛行機が完全に停止したことを確認し、オペレーターはPLBを作動させ、最後の1.5メートルは手動で操作を行い、航空機のドアに正確にドッキングさせなければならない。この作業はオペレーターの熟練度にもよるが2分ほどかかることもあるという。
そこでCAG社は、インテリジェント・ドッキング・システムを搭載し、完全自動化されたPLBを開発しているという。航空機のドア検知システムやレーザー距離センサー、危険を検知するその他のセンサーも装着されおり、オペレーター1人で完全なドッキング・プロセスを実施できるようになったという。この自動化によってドッキング・プロセスは2分未満で完了できるとのこと。
システムやテクノロジーで人為的なミスを減らす
インテリジェント・ドッキング・システムは人為的なミスの要因を減らし、安全レベルを向上できるという。この新しいオペレーションが地上スタッフが生産性とオペレーション効率をさらに向上させる方法を模索できるよう作業プロセスの再設計を後押しするだろうとCAG社は考えている。
CAG社は2023年8月25日に香港発シンガポール行きのスクートTR981便でこの完全自動化PLBのテストを初めて実施。今後はKLMオランダ航空とバンコク・エアウェイズが検証に参加予定だという。検証に先立ち、CAG社は各航空会社および地上ハンドリング業者に対して、標準作業手順書(SOP)の改訂依頼や一部のPLBオペレーターを対象に、新しい自動化システムの使い方を教えるトレーニングも実施したとのこと。
今後はチャンギ空港全体に自動化されたPLBの導入を推進
チャンギ空港の航空会社委員会委員長で、KLMオランダ航空のシンガポール副支社長でもあるChua Boon Sua氏は「KLMオランダ航空は、PLBの自動化検証へ参加します。このシステムの利点は、KLMオランダ航空のお客様だけでなく、パートナー企業にも及びます。私たちはこのシステムに感銘を受けるとともに、空港全体に自動PLBが全面導入されることを心待ちにしています」と話す。
また、エアポート・オペレーション・コントロールのマネージングディレクターであるYeo Kia Thye氏は「私たちのチームがこの技術検証を実運用環境にまで進められ、とても興奮しています。この検証を推進することで、自動化がもたらす未来のエアサイドというチャンギ空港のビジョンに向けて、ジグソーパズルのピースを1つ配置することになるでしょう。私たちは、より多くの航空会社が完全自動化されたPLBを活用することを楽しみにしています。」と述べている。
Changi Airport Group News