熊本県の西部に位置する天草地域は上島と下島の2つの島からなる諸島で、天草空港は下島の北部に設置されている。高台に作られた空港からは、晴れていれば熊本市内や島原半島を一望することができる。正式名称は天草飛行場だが、一般的には天草空港と呼ばれている。
天草空港が供用を開始したのは2000年と比較的新しく、熊本県が運営する県営空港である。開港当初は熊本空港経由で松山や神戸へ向かう便があったが、現在は福岡、熊本の直行便と熊本経由の大阪・伊丹行きの便のみとなっている。
就航する航空会社は天草エアラインの1社で、保有する1機の航空機で1日10フライトが行われている。使用されている機体には、イルカに見立てたペイントがされており、「イルカと共生できる環境をそのままに、未来へ前進」というメッセージが込められているという。
2018年には潜伏キリシタン関連遺産として長崎を含め天草地方が世界文化遺産に登録。パンデミックの影響が徐々に和らいでいく中、天草エリアの玄関口として重要な役割を担う7月の天草飛行場(天草空港)をレポートする。
空港概要
熊本県・天草飛行場(天草空港) -Amakusa Airport-
高台にある空港ならではの景色
天草空港は高台に設置されており、標高は約104m。天気が良い日には熊本市内も見えるほど景色の良い空港として知られている。海だけでなく周辺の島々や連なる山々も航空機と一緒にカメラに収めることができる。
また展望デッキにはカメラ撮影用にフェンスの一部がくり抜かれており、航空機ファンにはありがたい仕様となっているが、デッキの場所は狭く、撮影スポット数に限りがあるため、ベストショットを狙うなら早めに空港へ到着することをおすすめしたい。
メイド・イン・天草空港のお見送りボード
天草空港の展望デッキ入口には、お手製のお見送りボードが置いてある。ここまで見送りに力を入れている空港は珍しい。地上では整備スタッフだけでなく、消防スタッフまでも出発便を見送るために外に出て、手を振っており、小さな空港ならではの瞬間を垣間見ることができる。
独自経営で突き進む天草エアライン
天草市に本社がある天草エアラインは、天草空港の開港当初から運航を担っている。所有する機体は1機のみで、1日に天草→福岡→天草→熊本→大阪(伊丹)→熊本→天草→福岡→天草→福岡→天草と10フライト飛び続けている。天草エアラインに乗るためだけに訪れる航空ファンがいるほか、1日の全10フライトに搭乗するという強者もいるそうだ。一般的な航空会社がやらないような経営で独自路線を進む天草エアライン。今後の新しい取り組みにも期待したい。